病気になった社員を支えるために中小企業の「治療と仕事の両立支援」

病気になった社員を支えるために中小企業の「治療と仕事の両立支援」

病気やケガの治療をしながら働くことは、今では決して特別なことではありません。
がんや糖尿病、人工透析、メンタルヘルス不調、不妊治療など、さまざまな事情を抱えながら仕事を続けている方がいます。
私たちの職場にも、治療を続けながら働いている方がいるかもしれませんし、これからそのような状況になる方もいるかもしれません。
こうした中、治療と仕事を無理なく両立できる職場づくりの重要性が高まっています。

2026年4月からは、企業に「治療と仕事の両立支援」が努力義務として求められるようになりました。
また、2026年6月の診療報酬改定では、医療機関と職場の連携を支える仕組みとして「両立支援カード」の活用も注目されています。

今回は、中小企業でも無理なく取り組める「治療と仕事の両立支援」についてご紹介します。


治療と仕事の両立で生じる不安

病気やケガの治療が必要になったとき、まずは自身の体調や治療のことを考える方が多いと思います。
その次に、
「仕事は続けられるだろうか」
「職場にどう伝えればいいのだろう」
「周囲に迷惑をかけてしまうのではないか」
といった不安を抱える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

一方で会社側も、
「どこまで配慮すればよいのだろう」
「主治医の意見は聞いた方がいいのだろうか」
「他の従業員とのバランスをどう取ればいいのだろう」
と悩むことがあります。

治療と仕事の両立支援は、こうした双方の不安を少しずつ解消しながら、無理なく働き続けられる方法を一緒に考えていく取り組みです。

まずは「相談しやすい職場づくり」から

両立支援というと、特別な制度や新しい仕組みが必要だと思われるかもしれませんが、
中小企業で最も大切なのは、まず「相談できる環境」があることです。
例えば、
・体調や治療について相談できる担当者を決めておく
・病気になっても相談してよいことを日頃から伝えておく
・個人情報の取扱いルールを決めておく
こうした小さな準備が、従業員にとっては大きな安心につながります。
「困ったら相談してみよう」
そう思える職場であることが、両立支援の第一歩です。

社外の力を活用するという方法も

治療と仕事の両立支援は、会社だけで抱え込む必要はありません。
各都道府県の産業保健総合支援センター(以下:さんぽセンター)では、専門家による無料相談や支援を受けることができます。
また、医療機関と職場をつなぐツールとして「両立支援カード」があります。
これは、治療に必要な配慮や働き方について、本人・医療機関・会社が情報を共有しながら話し合うためのものです。
治療と仕事を両立するために、どのような働き方ができるのかを一緒に考える際に活用されています。

治療と仕事の両立支援カード

出典:治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援コーディネーターという存在

治療を受けながら働く方を支えるため、本人・医療機関・会社の間に立って調整や支援を行うのが「両立支援コーディネーター」です。
医療機関やさんぽセンター、企業などで働くさまざまな立場の方が研修を受講し、両立支援に携わっています。
必ずしも企業内に配置するものではなく、必要に応じて外部の支援を受けることもできます。

労働者健康安全機構では、両立支援コーディネーター基礎研修を無料で実施しています。
人事担当者や管理職の方だけでなく、両立支援に関心のある方であれば受講できますので、興味のある方は活用してみてはいかがでしょうか。

活用できる助成金もあります

治療と仕事の両立支援に取り組む企業向けには、助成金制度も用意されています。
例えば、
「障害者雇用安定助成金(障害や傷病治療と仕事の両立支援コース)」があります

詳細については、厚生労働省のホームページや専門家へご相談ください。


まとめ

医療の進歩により、病気になったからといって退職するしかない時代から、働き続けられる方法を一緒に考える時代へと変わりつつあります。
企業における治療と仕事の両立支援は、従業員の安心につながるだけでなく、大切な人材を守ることにもつながります。
完璧な制度よりも、本人の話に耳を傾けること、そして必要に応じて医療機関や支援機関の力を借りることが大切です。
病気になっても安心して働き続けられる職場づくり、できることから少しずつ始めてみませんか。

【参考リンク】
治療と仕事の両立支援ナビ
両立支援全国MAP | 治療と仕事の両立支援 – 労働者健康安全機構
令和8年度両立支援コーディネーター基礎研修申込要領

自社でどこから始めればよいか迷う場合は、お気軽にご相談ください。
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社会保険労務士/両立支援コーディネーター
中小企業の労務相談や年金相談のほか、病気や治療を抱えながら働く方の支援にも取り組んでいます。

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