
年金額改定通知書・年金振込通知書の見方
〜経営者が押さえるべき3つのチェックポイント〜
6月中旬頃、多くの年金受給者の皆様のお手元に「年金額改定通知書」が届いたことと思います。
特に経営者として役員報酬を受け取りながら年金を受給されている方にとって、この通知書は重要な意味を持ちます。
まず【年金額改定通知書】とは?
年金額改定通知書は、年金額が改定されたときに、改定後の年金額をお知らせするもので、「年金支払通知書」と一体型様式となっています。
改定率はほぼ毎年変わるので、今年の4月分(原則として、6月15日支払分)からの年金額が載っています。
では、通知書が届いたら、確認すべきポイントは?
- 改定後の年金額(ここは当然ですね)
老齢基礎年金額:国民年金部分【4月~3月までの合計額】
老齢厚生年金額:厚生年金部分【4月~3月までの合計額】
各支払期ごとの金額【2か月ごとに振り込まれる金額】
- 支給停止の有無(年金が減額されていない?)
年金を受け取りながら報酬を得ている方は、老齢厚生年金について、支給停止または、一部支給停止となる場合があります。
これが「在職老齢年金」と言われています。
60歳以降に受ける報酬と年金額(老齢厚生年金)に応じて、年金額の一部または全部が支給停止となる制度です。
2025年度の支給停止基準:51万円
具体的な計算方法:
基本月額(年金の月額)+総報酬月額相当額(月給+直近1年間の賞与÷12)が【51万円】を超える場合
超えた額の1/2が年金から支給停止
計算例
Aさんの場合(66歳・経営者)
老齢厚生年金:月額15万円(年額180万円)
役員報酬:月額40万円、役員賞与無し
合計:55万円(40万円+15万円)
計算の詳細:
基準額51万円を4万円超過
支給停止額:4万円÷2 = 2万円
実際の受取額:15万円 – 2万円 = 13万円(老齢厚生年金の額)
※ここで 注意点
厚生年金の加入対象は70歳までとなりますが、この仕組みの対象となる年齢に上限はなく、現役役員として報酬を受け取っている限りは、この制度の影響を受けることになります。
老齢基礎年金は減額されません。老齢基礎年金は減額されず、全額受け取れます。
支給停止は老齢厚生年金のみが対象です。
- 定期的な見直しの重要性(法改正情報です!)
実は、来年度(2026年4月〜)からこのボーダーラインが51万円から【62万円】に引き上げられます。
つまり支給停止されにくくなります。
そして、いずれこのラインは撤廃される予定となっています。
経営者ばかりでなく、定年後も年金受け取りながら働く方が増えていますので嬉しい話ですね。
年金制度は複雑で、個々の状況によって最適解が異なります。
通知書の内容に疑問を感じたり、より効率的な報酬設計を検討されたい場合は、お気軽にご相談ください。